導入インタビュー
株式会社ファミリーマート 様(FM-GIS)
ファミリーマート社内で使用されている店舗開発用GISのフロントエンド側をゴーガが開発しました。
携帯電話の位置情報をもとにした人流ビッグデータを全国規模でシステムに採り入れており、全国各地で店舗開発を行っている担当者の方々が、店舗開発の判断や日商の予測など、さまざまな用途に活用しています。
ゴーガのシステムを導入する以前は、既存の店舗開発用GISにどのような課題をお持ちだったのでしょうか?
川口様:これまで使っていた店舗開発用GISは、基本的なシステムは10年以上前に開発したもので、2017年にクライアント・サーバーシステムからウェブシステムへと移行したものの、機能もUIもそれまでとほとんど変わらず、使い勝手はもちろん、画面の読み込みや印刷スピードなど性能面においても課題がありました。そのような状況の中、社内的にDX(デジタル・トランスフォメーション)への取り組みを強化するプロジェクトが立ち上がりまして、その取り組みのひとつとしてGISの刷新を行うことになりました。GISを店舗開発だけでなく、社内のデータサイエンティストが開発したアルゴリズムに基づいて色々なデータを可視化して、さまざまな業務の最適化を図るとともに、既存店の分析にも活用しようということでリニューアルすることに決めました。
リニューアルするのにあたって、新しいシステムにはどのような機能や性能を求めていましたか?
川口様:まずはGISの基本機能を正しくわかりやすく、そしてレスポンス良く使用できることを目指しました。もちろんビッグデータを使った解析機能なども重要ですが、やはり使い勝手の良さとセットで考えるべきであり、解析したデータをきちんと可視化する仕組みを考える必要があります。
ゴーガを知ったきっかけと、採用に至った理由をお聞かせください。
吉野様:今回、GISのエンジン部分については別の会社にお願いしたのですが、フロントエンドの部分については Google Maps Platform の活用を前提にベンダーを探したところ、Google Maps プレミアパートナーであり、画面開発に定評があるということでゴーガさんにお願いすることにしました。今回はいかに軽く、速く動くシステムを作るかがポイントで、そのような要望について弊社のデータサイエンティストと会話が成立し、思いを共有できる会社であるという点にも魅力を感じました。
Google Maps Platform の採用を前提にした理由は何ですか?
吉野様:以前使っていたシステムでも Google Maps Platform を使っていて、GISの地図として Google Maps Platform は必須のものだという考えがあったので、それを使わないという選択肢はありませんでした。また、Google Maps Platform は渋滞情報が標準で利用可能である点も魅力です。渋滞が多い場所はお客様が入りづらく、来客数が少なくなる傾向があり、コンビニの店舗開発にとって渋滞情報は非常に有用です。
今回導入となった位置情報ビッグデータには、どのような点に魅力を感じて導入を決定したのでしょうか?
吉野様:携帯電話の位置情報を収集したビッグデータの存在は以前から知っていました。弊社では、新規出店にあたっては調査会社に依頼して通行量や競合店の調査などを行うのですが、既存店についてはそれほど厳密な調査を定期的に行うことはありません。携帯電話の人流データを使うことで、全国約1万6,600店について同じ条件でデータを取れる わけですから、とても有用だと思います。他社のデータはメッシュ情報が中心であるのに対して、今回導入した位置情報ビッグデータは道路単位 でデータを取得できるという点が大きかったです。
導入する際に苦労した点や工夫した点がありましたら教えてください。
石崎様:今回は開発期間が短かったことと、コロナ禍ということで対面での打ち合わせをする機会が少なかったことに苦労しました。地図のシステムなので、紙の資料ではイメージするのが難しいため、実際に動くデモ画面をゴーガさんにスピーディーに作っていただき、それに対してレスポンスを返すと手早く反映していただけたので、短い期間の中で合意形成できたことが大きかったと思います。
システム導入後、狙い通り課題は解決されましたか?
吉野様:2021年1月に社内で正式に導入する前にプレリリースをしたところ、画面の操作性や地図の表示・印刷などのレスポンスについては社内から苦情が一件も出ませんでした。また、「操作方法が難しい」とか「使い方がよくわからない」といった不満の声も聞かれませんでした。GISの使い方をよくわかっている新規事業開発の担当者の中には、マニュアルなどを一切見ないで新システムの操作方法をすぐに理解し、「これはすごいね」と驚いた者もいました。UIについて、弊社がイメージする通りに作り込んでいただけたおかげだと思います。
川口様:データソースが変わっていなくても、地図のレスポンスと見やすさと操作のしやすさを変えるだけでも、ユーザー側の評価はがらりと変わるということがよくわかりました。レスポンスや使いやすさなど、これまで課題だった点が相当良くなったのだと思います。
位置情報ビッグデータへの評価についてはいかがですか?
吉野様:位置情報ビッグデータについては非常にデータ量が豊富なので、まだ十分に使いこなせていないのが現状です。ただし、今は店舗開発の担当者しかこのシステムを使用していませんが、段階的にスーパーバイザーも使えるようにしていきたいと考えており、使用できる人が増えれば新たな活用方法も見つかると思います。既存店の店舗の商圏なども可視化できるので、自分が担当する店にどの辺のエリアからどれくらいのお客様が訪れているのかがわかり、マーケティングツールとしての活用が期待できます。また、弊社は例えば、コインランドリーの併設店など新規事業開発にも取り組んでおり、このような新しいコンセプトの店の開発にも役立つと思います。
システムを導入したことで、当初は想定していなかったメリットなどがありましたら教えてください。
吉野様:位置情報ビッグデータでは時間帯別の人流データがわかる ので、これを活用して、フライヤー商品(揚げ物や焼き鳥などの店内調理品)を調理するタイミングについて店舗に指導を行うといった新しい使い方があることに気付きました。コンビニのオーナーさんや店長さんというのは、店にいる時間がどうしても長くなるため、時間帯によって店の周囲を歩く人の人数がどのように変わるのか、ということを知らないことが意外と多いです。このようなデータを使って人流を可視化し、スーパーバイザーから提案することで、さらに使い方は広がると思います。
コンビニエンスストア業界の最近の動向と貴社の今後の展望、そしてその中でゴーガのシステムがどのような役割を担っているか、ご意見がありましたらお聞かせください。
吉野様:弊社ではこれまでGISを主に新規店舗開発に使用していたのですが、他のチェーンとの合併などもあったため、今後は既存店の再配置にも取り組んでいく必要があり、それを人の感覚ではなく、地図できちんと可視化しながら将来に向けて検討していくためのツールとして今回のシステムを活用したいと考えています。もちろん従来通り、新規店舗開発のためにも大いに活用し、すべてのオーナーさんが幸せになれるように取り組んでいきたいと思います。
川口様:社内で共有される店舗の情報というのはテキストベースのものが多いですが、数字だけを見ていてもイメージできないことが多く、実際に地図上のどこに店舗があり、周囲にどのような施設があるのか、そういった点も含めて店舗を理解できるようなシステムとして広く社員に公開していくことで、「店舗情報を見るためのポータル」として発展させていけるのではないかと考えています。使う側も「GISとはこのように使うもの」という固定概念を外して考えるべきだし、そうすることでこのシステムが店舗情報を多面的に分析できるプラットフォームとなることを期待しています。
ゴーガプロジェクトメンバーより一言
今回のシステム開発案件に携わり思ったのが、関わられたファミリーマートの皆様は、店舗のオーナー様のことを本当によく考えていらっしゃると言うことです。例えば、100店舗のうち1店舗が不採算になってしまったとしても、経営的には大きな問題ではないかもしれません。ですがそれでよしとするのではなく、すべてのオーナー様が幸せにならなければならない。出店に手間・お金をかけてでも不採算店をなくしていきたいと強く思われていることに大変感心しました。今回のインタビューをいただいている今時点も、機能拡張・追加開発を継続して推進している最中ですが、システムのユーザー様、その先のオーナー様にさらに貢献していけるよう取り組んで参りますので、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。