導入インタビュー

東京電力エナジーパートナー株式会社 様

東京電力エナジーパートナー様のカスタマーサービスシステムにて、ゴーガは Google Maps Platform を使用するための開発および保守業務を担当しています。従来はコールセンターをベースとしていたカスタマーサポートをオムニチャネル化し、オペレータによる電話対応だけでなく音声認識やAIチャットボット、ウェブの問い合わせフォームなどに対応した上で、顧客情報のベースとなる地点情報の利活用に Google Maps Platform を利用し、カスタマーサービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めました。

東京電力エナジーパートナー株式会社<br>DX 推進室チームリーダー 飯塚孝高 様'東京電力エナジーパートナー株式会社
DX 推進室チームリーダー 飯塚孝高 様
東京電力エナジーパートナー株式会社
  • 社名東京電力エナジーパートナー株式会社
  • 導入サービスGoogle Maps Platform / 個別開発
  • キーワードコールセンター, カスタマーサービス, DX

Google Maps Platform を導入する以前はどのような課題をお持ちだったのでしょうか?

弊社ではお客さまとのつながりをより一層充実させるために、2019年7月にDXによる改革に着手し、翌年4月にはDX推進室を正式に設置し、サービスの高度化と業務の効率化を図りました。エネルギー産業はこれまで変化の少ない分野でしたが、業界全体を取り巻く環境は激変しており、電力の自由化や各社による新たなサービスの提供が始まり、カスタマーサービスには一層の品質が求められています。

そこで私たちは、各種手続きやサポートなどのカスタマーサービスの分野で、より簡単で便利な、そして質の高いカスタマー体験を提供しつつ、コールセンターのコストを抜本的に削減することを目指しました。これを実現するため、お客さまから問い合わせを受け付けたり、サポートを受けたりする窓口業務において、ウェブに設置したフォームやチャット、自動音声などでもすぐに対応できるように「接点」をオムニチャネル化して効率化を図りました。

以前のカスタマーサービスはコールセンターをベースにしており、電話口でお伝えいただいた情報に基づいて、オペレータが所在地の検索や確認、必要なサポートの内容を確認する方法をとっていたため、「場所を正確に把握するのに時間がかかる」、あるいは「適切なサポートをフレキシブルに提供するのが難しい」という課題を抱えていました。これらの課題を解決できれば、お客さまにさらに寄り添った、温かみのあるサービスを提供できるようになります。

カスタマーサービスにおいて Google Maps Platform はどのように役立つのでしょうか?

オムニチャネル化を軸としたDXを推進する際には、「地点」と呼ばれる位置情報を正確に把握し、活用できるプラットフォームが何よりも重要になります。

弊社の業務では電気やガスをどの建物に供給しているのかを管理することが必要不可欠であり、カスタマーサポート業務でもお客さまの居住地や契約内容を正確に識別することが求められます。地点情報はその根幹となりますし、その精度を高めなければDXの推進自体が難しくなります。この根本的なニーズを満たすために導入したのが Google Maps Platform でした。

導入する際に他社サービスとの比較検討はされましたでしょうか?

選定の際には、他社製品との比較はあまり行いませんでした。私は、Google マップをプライベートでも使っていましたし、入力した検索条件が完全でなくても、きちんと住所が表示され、ナビでも目的地をスムーズに設定できるといった機能性の高さを十分に認識していました。何よりも Google Maps Platform は実用的で使いやすいAPIが豊富に揃っているし、各APIの仕様や使い方、サンプルなどがわかりやすく文書化されているのも便利です。

飯塚孝高様

導入にあたってゴーガさんのような優秀な開発パートナーがいることもわかりましたので、DXを推進するプロジェクトが始まったわずか半年後の2020年の年明けには Google Maps Platform の導入を決断しました。Google Maps Platformは、私たちの業務の根幹となる地点情報を提供する基盤として、それだけ魅力的だったからです。

導入する際に工夫した点や苦労した点がありましたら教えてください。

プロジェクトが始まると、ゴーガさんと定期的に連絡を取りながら開発作業や実装作業を進めていきました。Google Maps Platform 上で登録しなければならない地点情報は数千万か所にもおよびましたので、APIの仕様上限に達しないようにリクエストを分散したり、Google Cloudのサービスも活用したりしながら、長時間タスクを処理できるようにする工夫が必要でした。

しかし、このような細かな点を除けば、開発段階で大きな問題は一切発生しませんでした。ゴーガさんは地図情報のスペシャリストで、さまざまな課題を解決してきた経験と知見を持っていますので、自分たちが思い描いた通りにスピード感を持って作業を進めることができました。事実、かくも大規模なプロジェクトでありながら、実装はわずか3か月で完了しました。

その要因としては、Google Maps Platform 自体の開発のしやすさも挙げられます。Google Maps Platform はアーキテクチャが合理的で、Google Cloudの各サービスとの連携も容易なので、どのようなプロジェクトでも開発が迅速に進むと思われます。

この優れた特長はアジャイル型の開発も後押ししました。通常、大規模なプロジェクトはウォーターフォール型で進める傾向が強く、ともすれば小回りが利かなくなりがちですが、私たちは少数精鋭の体制で課題ごとに開発やテスト、修正を行っていく方式を採用しました。まずは私がガイドラインを提示し、ゴーガさんが開発を担当。随時、連絡を取りながらソリューションを確立し、フレキシブルに機能を加えていくことができました。Google Maps Platform 自体、アジャイル型の開発プロジェクトときわめて親和性が高いことが大きな追い風になりました。

Google Maps Platform ではどのAPIを利用していますか?

現時点で「Places API」と「Geocoding API」の2種類を活用しています。1つ目のPlaces APIはお客さまにウェブ上の問い合わせフォームで住所をご入力いただいたりする際に、オートコンプリートで情報を推測して表示し、入力を容易にするために利用しています。オートコンプリート機能は、お客さまから連絡を受けたオペレーター側がお客さまの住所情報を伺い、社内のシステムに入力する際にも使われますので、お客さまとオペレーターの双方にとって利便性と正確性が向上します。

ウェブフォームでのPlaces API活用
オペレーター画面でのPlaces API活用

このPlaces APIは法人向けの営業活動を拡充するためのサブプロジェクトでも活用しています。私たちは日本有数のインフラを備えていますが、そこには店舗の営業時間やサービス内容、利用者の口コミやレビューなどさまざまな情報が存在しています。現在はPlaces API でこれらの情報を分析しながら、エネルギーの活用に関する新たな提案をしたり、より多角的なサービスを展開したりする可能性を模索しています。

2つ目のGeocoding APIは最も頻繁に利用しているAPIで、オムニチャネル上のチャットや音声認識、ウェブフォームなどで入力される住所情報から、より正確な地点を特定するために利用しています。これまで弊社の契約管理システムでは、電気やガスの供給地点に関する情報はテキスト情報として保存されていましたが、Geocoding APIの導入を機会に地点情報をすべて緯度経度に変換した上でデータベースに統合しました。この結果、テキスト情報をベースにしていた頃に比べて地点を検索する速さや正確性、検索の柔軟性が大きく向上しました。

システム導入後、狙い通り課題は解決されましたか?

お客さまとの接点を段階的にオムニチャネル化し、新たなコンタクトセンターで受付業務ができるようになった結果、毎月30万件ほどの問い合わせに対応できるようになりました。これはコールセンターでオペレーターが電話対応していた頃に比べて2~3倍のオペレーション効率に相当します。カスタマー経験の向上と業務効率化の両面において、相当なインパクトをもたらしました。

たとえばオムニチャネルにはチャットを利用したサポートも含まれていますが、お客さまがチャットに入力した曖昧な住所情報から正しい地点を検索することにより、オペレーターは短時間でより正確な処理ができます。しかも電話での対応と異なり、1人のオペレーターが複数のチャットに同時に対応できるようになるので効率も一段と向上します。

導入してから気付いた効果はありますか?

Google Maps Platform を使って地点情報を緯度経度に変換していく試みは、弊社の契約管理システムの中に残っていた不正確な情報や誤って入力された情報を洗い出し、データベースの正確性を高める効果ももたらしました。地点情報の中には、緯度経度に変換した際にGeocodingの結果の精度があまり良くないものもありましたので、ゴーガさん経由でGoogle Cloudに改善要望をあげることも実施しました。このように緯度経度で地点を把握できるようにしていくことは業務の合理化に寄与します。

さらに、Google Maps Platform の導入は現在進めているコールセンター業務のフルクラウド化においても一翼を担いました。従来はオンプレミスの環境で自社ビルにコールセンターの拠点を置いていましたが、コロナ下ではオペレーターが在宅で仕事をするケースも増えましたし、業務継続性を高めるべく拠点を分散する必要性も高まってきています。これらのニーズや課題に対応する上でも、Google Maps Platform は確実に役立っています。

今後の展望をお聞かせください。

Google Maps Platform の検索精度の高さや使い勝手の良さは予想以上であり、私たちはGoogleの他の製品も活用していますので、このような特長は日々の業務でも幾度となく実感しています。たとえばデータ分析ではGoogle Analyticsに加えて、昨年からはBigQueryやVertex AI、Lookerなどの導入も進めています。特にLooker は Google Maps Platform と連携することで、さまざまな分析やビジネスの新たな分野への展開が可能です。

お客さまに選んでいただける会社を目指して、業務の根幹となる地点情報を扱う基盤として Google Maps Platform を導入し、オムニチャネル化とDXを推進してカスタマーサービスのオペレーション自体を変革するという最初の段階に関しては、本当に大きな成果が得られました。まだまだ Google Maps Platform にはさまざまな可能性があり、導入する領域は今後もどんどん広がっていくことでしょう。

私たちが追求しているカスタマーサービスの向上に終わりはありません。今後も Google Maps Platform を活用しながら、より良いカスタマー体験を提供し、「みらい型インフラ企業」というビジョンの実現に向けて歩み続けていきたいと考えています。

導入サービス紹介

Google Maps Platform

業界でも高いシェアを誇る Google マップのデータ・機能を、お客さまのビジネスに活用いただけます。さまざまなシーンやニーズに合わせて、ライセンス取得から実装まで。Googleのプレミアパートナーであるゴーガがサポートします。

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