導入インタビュー

KDDI株式会社 様 / 技研商事インターナショナル株式会社 様

KDDIと技研商事インターナショナルが共同で提供する商圏分析・位置情報分析ツール「KDDI Location Analyzer(以下、KLA)」をゴーガが開発しました。KLAはauスマートフォンユーザーのGPS位置情報を使って様々な分析を行えるサブスクリプション型の人流分析ツールで、2019年6月にサービスが始まりました。直感的に使える優れたUIを備えており、2018年まで遡って位置情報ビッグデータを分析することが可能で、幅広い業界で豊富な導入実績を誇ります。

KDDI株式会社 経営戦略本部 データマネジメント部 ビジネス開発G ロケーションデータチームリーダー 石橋弘志 様(中央右)サービス統括本部 ライフデザインプラットフォーム部 コアスタッフ 高山伸也 様(右)技研商事インターナショナル株式会社 技術開発部 副部長 倉本忠 様(左)ソリューション営業本部 アライアンスビジネス営業部 部長 河井将徳 様(中央左)KDDI株式会社
経営戦略本部 データマネジメント部 ビジネス開発G ロケーションデータチームリーダー 石橋弘志 様(中央右)
サービス統括本部 ライフデザインプラットフォーム部 コアスタッフ 高山伸也 様(右)

技研商事インターナショナル株式会社
技術開発部 副部長 倉本忠 様(左)
ソリューション営業本部 アライアンスビジネス営業部 部長 河井将徳 様(中央左)
株式会社KDDI
  • 社名KDDI株式会社 / 技研商事インターナショナル株式会社
  • 導入サービスKDDI Location Analyzer / 個別開発
  • キーワード人流データ, 混雑情報, エリアマーケティング, 商圏分析, 地図表示

KDDI Location Analyzer

KLAとは、どのようなデータを使ってどのような分析を行えるツールでしょうか?

河井様:KLAはKDDIさんが保有する高品質な位置情報ビッグデータを使って分析できるツールで、指定した施設やエリア内に滞在する人数を可視化できます。たとえば店舗への来訪者数を知りたい場合、KLAを使わなくても自社店舗ならば把握することは容易ですが、競合店舗の来訪者数や、出店を検討しているエリアの通行量などを知ることは難しいです。KLAを使うことにより、現地に行って実測することなく、様々な施設やエリアの来訪者数を自由に調べることが可能となります。小売・飲食からメーカー、不動産、広告、金融、交通、シンクタンクなど様々な業界でマーケティングにご利用いただいているほか、行政が商業・観光振興などに活用することも可能です。

使用するビッグデータにはどのような特徴がありますか?

河井様:KLAで分析に使用するデータは、auスマートフォンユーザーの同意のもとに、GPSで数分間隔に1回、最小10mの小さなメッシュ単位で集計し、誰の情報かわからない形式に加工した位置情報データをもとにしたビッグデータです。携帯電話の基地局情報を活用した分析ツールに比べて、施設単位でピンポイントに分析することが可能となります。

石橋様:携帯電話の基地局は都市部では短い間隔で設置されていますが、郊外では離れているところもあり、そこから収集した位置情報データも粒度が粗くなってしまいますが、KLAではGPS位置情報を使うことにより、基地局情報に比べて解像度の高い分析が可能となります。また、ユーザーの性別や年代など詳細な属性情報と組み合わせて分析できるのも強みのひとつです。

KLAはauスマートフォンから個別に明確な同意を頂いたユーザーデータのみを活用している。
この位置情報データに対し契約者属性を紐づけ、性・年代等の分析を可能にします。また、高精度なGPS位置情報データを用いているので正確、詳細な分析を実現した。

このようなサービスを作ろうと思ったきっかけは?

石橋様:KDDIでは以前から位置情報ビッグデータを活用した分析サービス「Location Trends」というサービスを提供していたのですが、これはお客様から要件を伺った上で、我々のほうで分析してレポートとして納品するというものでした。これでは納品までに時間がかかってしまうため、お客様視点だとすぐに分析ができない。お客様自身で簡単に分析できるサービスを作ろうと考えたのが最初です。開発当時、類似のサービスは他に見当たらなかったため、これまでにないサービスを実現させるためにGISによるエリアマーケティングの技術を持つ技研商事インターナショナルさんと共同でサービスを開発することにしました。

他社の位置情報分析ツールと比較して、どのような点が優れていますか?

河井様:KLAでは2018年まで遡った分析が可能で、約5年間にわたって人流比較を行えます。人流分析システムのなかで、これはおそらく業界内でも最も長期間のデータだと思います。コロナ期間中の人流変化の推移も詳しく把握することが可能で、緊急事態宣言の影響が大きかったエリアがどこなのかも調べることもできます。今後もコロナ禍のときと同じような事態が発生した場合に備えて、KLAを使って都市型店舗と郊外型店舗の比率の変更を検討しているお客様もいます。

また、道路単位で交通量を可視化できるのも他社にはない特徴のひとつです。特定の道路を通った人数や性年代別を把握することが可能で、車に乗っている人と歩行者を区別して可視化することもできます。これは解像度の高いGPS位置情報データを道路に紐付けることによって実現しています。

もうひとつの特徴は、お客様が使いやすいUI(ユーザーインターフェイス)を強く意識して作っている点にあります。全体の色使いや情報の配置などは、ゴーガさんにも工夫していただいたことにより、私どもが求めた要件以上のクオリティを実現していただいたと思います。

エリア内の交通量を平日/休日、時間帯別、性・年代別、交通手段(自動車、徒歩)別に道路ごとに集計。道路単位で交通量を可視化ができる。

KLAの公式サイトの導入事例を見ると、民間企業に加えて自治体や官公庁にも多く活用されていますが、リリースして4年でこれだけ多くの人気を集めた理由は何でしょうか?

石橋様:コロナ禍以前はKLAの顧客はほぼ民間企業でしたが、コロナ禍になって密度を避けるため人流分析を行う必要が生じたために、初めて自治体や官公庁からの注目が集まりました。2020年から自治体に向けてKLAを3カ月無償で提供する取り組みを開始したこともきっかけとなって多くの自治体や官公庁にご利用いただき、今ではコロナ関連だけでなく観光や都市計画の部署の方にもご利用いただく機会が増えました。

また、民間企業についても、ここ数年で小売業で一気に需要が広がり、そこから不動産業や広告業、飲食店、コンサルティングなどに波及していきました。やはりコロナ禍となり、店舗付近の人流に対する関心が大きく高まったことが大きく影響していると思います。

KLAを開発するのにあたって、どのような経緯でゴーガへの依頼が決まったのでしょうか?

倉本様:以前、弊社が提供する商圏分析ツール「MarketAnalyzer™ Satellite」の開発をゴーガさんに依頼したことがあり、KLAもMarketAnalyzer™ Satelliteと同様に Google Maps Platform を活用したサービスということと、開発のスピードと効率が求められていたこともあり、実績のあるゴーガさんにお願いすることにしました。

石橋様:Google Maps Platform 関連の技術に長けているということと、当時はとにかくKLAを早くリリースしたいという思いがあったので、柔軟に対応していただける会社ということで技研商事さんからゴーガさんを紹介していただきました。

要件定義の段階で、KLAをどのようなツールにしたいと考えていましたか?

倉本様:MarketAnalyzer™ Satelliteはデスクトップで分析した結果をクラウドにアップロードして閲覧するというツールで、KLAのようにクラウド上で分析できるウェブサービスを開発するのは初めてで、「位置情報を集計してどのように見せるか」という部分についてはKDDIさんと一緒に考えながら探っていきました。

開発中に常に意識していたのは、パフォーマンスですね。位置情報の集計を実行してから反応が返ってくるまでの時間は、お客様にとっては短ければ短いほどいいわけで、いかにユーザーにストレスを与えないようにするかが重要です。さらに、多様な条件を組み合わせて分析しようとすると処理が複雑になりがちで、単純に複数の処理を重ねるだけではパフォーマンスが著しく落ちるため、そのさじ加減を調整するなど、ゴーガさんに色々と工夫していただき、最終的にはストレスのないパフォーマンスを実現することができました。

河井様:ウェブアプリケーションでは、お客様は待たされることをとても嫌うため、何らかの反応をすぐに示す必要があります。ところが扱うのはビッグデータなので、裏側の処理にはそれなりに時間がかかります。開発当初は数十分かかってしまうような長い処理もありましたが、そこをバックエンドの処理も含めてゴーガさんにお願いしてチューンアップしていただき、許容できるレベルのパフォーマンスを達成することができました。

町丁目単位のヒートマップを重ねて表示する時も表示に時間をかけることなく、ハイパフォーマンスな画面をユーザーに提供している。

2019年6月のリリース後も、機能強化やパフォーマンス改善の発表が頻繁に行われてきましたね。

倉本様:新機能の追加により分析処理が複雑になった場合でも、元の処理速度にできるだけ近付けるようにしたり、時間が経つにつれて蓄積される位置情報データのサイズも増えるため、その影響でパフォーマンスを落とさないように気を遣ったりしながら、少しずつ改良を重ねていきました。

高山様:新機能が追加されるときは、基本的にはパフォーマンスへの影響が必ず発生するという状況でしたが、その問題をひとつひとつ解消していって、営業担当者さんに認められるようなスピードを実現するのにはとても苦労しました。

河井様:たとえば来訪者の居住地分析では居住地が丁目単位にポリゴンで表示されるのですが、数多くの複雑な形をしたポリゴンを地図上に表示させる処理はとても重く、ウェブ上で描画するのは大変です。そこで、まずデータの軽量化を当社にて実施。そのうえで、実装の部分ではゴーガさんにとても頑張っていただきました。これは営業するときも説明に苦労しているのですが、スペックに出てこないUXの部分にもかなり力を入れております。

開発中、ゴーガのエンジニアとのコミュニケーションについてはいかがでしたか?

倉本様:開発中は弊社とKDDIさん、ゴーガさんによる3社合同の定例会議を行うとともに、弊社とゴーガさんとの2社による定例でオンラインのミーティングも毎週行って、そこで細かい進捗状況を確認し合いました。弊社とゴーガさんとの付き合いはけっこう長いのですが、ゴーガさんは何かお願いをしたときに、常に前向きにご検討いただけるので、とても助かっています。とくにKLAの開発において、位置情報を集計する処理はかなり難しいので、ゴーガさんのエンジニアの方には色々と工夫してチューニングしていただき、難しい処理もそつなくこなしていただいたので、今でも本当に頼りにしています。

今後はKLAをどのように進化させていきたいとお考えですか?

石橋様:KDDIが持っているのは位置情報だけではないので、今後は決済データなど他の様々なデータも位置情報と同じように有用な価値にして、お客様に提供していきたいと考えており、その際もKLAのサービスに載せて提供するという形は考えられると思います。また、KLAのデータをお客様のシステムに組み込んでいきたいという要望も寄せられているので、分析だけでなくデータ連携という形で提供できるようにすることも検討しています。さらに、現在は屋外の位置情報データが中心ですが、今後は屋内の位置情報にも広げるとともに、屋外のデータについても精度を向上させていく必要があると考えています。

河井様:今は位置情報分析の市場が大きく伸びようとしている状況だと思いますが、とくにコロナ禍明けということで観光業には大きく注目しており、訪日外国人観光客も含めて、観光動態調査に役立つ機能も増やしていきたいと思います。

人流ビッグデータ業界の現在の動向と、その中でKLAが果たす役割を教えてください。

高山様:今後は人の物理的な流れだけではなく、人の気持ちの変化や、ライフスタイルの変化に紐付くような色々な情報を重畳して分析したり可視化したりする時代に入っていく可能性があります。位置情報をはじめとした様々なデータを活用して、人の嗜好を推測する取り組みなども進めていきたいと思います。

今後、ゴーガに期待することがありましたらお聞かせください。

石橋様:当社としてはサービスをいかに早くリリースし、市場に投入してお客様に新しい価値を提供するかが求められるので、重要なのはやはりスピードです。ゴーガさんにはさらなる開発のスピードアップのため、ぜひとも人員増員を期待したいですね(笑)。

高山様:KLAが普及してお客様の数が増えるにつれて、品質面でもお客様からの要求が高まっているため、正確性や不具合を起こさないためのルール作りなどについてもさらに強化していっていただきたいですね。

倉本様:ユーザーが増加するにつれてニーズも多様化していくと思いますので、デザイン性やUXについても、もっと改善できる点があると思いますので、そのような点でも今後ご協力いただければ幸いです。

河井様:ゴーガさんは Google Maps Platform を使ったシステムについては多くのノウハウをお持ちだと思うので、UXやUIの部分について、逆に私どもに提案をいただけると助かります。

導入サービス紹介

位置情報ビッグデータ

人流統計データをはじめとするビッグデータとお客さま独自のビジネスデータを用いて、オリジナルの地図システムを開発します。人の流れが可視化されることで、商圏分析、顧客・競合分析、集客施策の効果検証など、さまざまなマーケティングにご利用いただけます。

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